表紙は鳥人セルゲイ・ブブカ。今はウクライナ国籍ですが、当時はもちろんソ連代表です。
今回は1986年に開催された第一回グッドウィル・ゲームズの特集が組まれています。グッドウィル・ゲームズを直訳すると親善試合。80ヶ国の3000人がモスクワなどに集まり、夏季大会と冬季大会の2回に分けてアスリートたちが競い合ったとのこと。
メイン会場のモスクワ・レーニン中央スタジアムでは、聖火みたいな炎が燃え盛り、華やかなパレードで開会が宣言されました。うーん、なんだかオリンピックみたいな?
発案者はTBS会長のテッド・ターナー氏。CNNの創業者でもある大富豪です。で、TBSは日本のテレビ局ではなくて、ターナー・ブロードキャスティング・システムというケーブル放送局。後にタイム・ワーナーと合併します。
話を戻しますと、1980年代はオリンピック受難の10年でした。80年のモスクワ五輪は西側がボイコット。84年のロス五輪は東側がボイコット。スポーツと政治は関係ない、とはよく言われますが、現実は厳しいものでした。
ターナー氏は、オリンピックをやり直したかったのかもしれません。この大会にはアメリカの選手団もちゃんと参加してます。日本も柔道やバレーボールの代表チームが参加してます。ちなみにIOC(国際オリンピック委員会)もこの大会を支持していました。
この人文字、華やかで統制が取れてるだけではありません。いきなりパレードが中断し、スタジアムの照明が落とされると、描き出されたのは、広島に投下された原爆のキノコ雲……。突如として善と悪のせめぎあいが描かれます。
うーむ。原爆糾弾はわかるけど、ここでやることか?
空気を読まないのは奥崎謙三ぐらいかと思っていましたが、国家レベルでやっちまうあたり、ソ連はスゴイです。つーか、アメリカ政府もよく選手団を送ったものです。いや、知らなかったのか?
この開会式の模様は世界中に中継され、20億人が見たとのことですが、どうやらその中に日本国民は含まれていなかった模様。アメリカも推して知るべしです。
で、ヒロシマ原爆ショー&ハルマゲドンが終わると、今度はいきなり米ソ友好ムード。アポロ・ソユーズ共同飛行の宇宙飛行士たちが登場し、空中ではアポロとソユーズに似せたパルーンが合体!
あ、これはちょっと見てみたかった。
アレクセイ・レオノフは将官用の夏季礼装が似合っているなあ。勲章ジャラジャラの軍人がスポーツのイベントに出てくるとかどうなのよ?と思う人がいるかもしれませんが、これがなければソ連じゃありません。
そんなこんなで幕を開けたグッドウィル・ゲームズですが、結果から言うとTBSは赤字だったそうです。しかしターナー氏は「「アメリカが毎年、軍備増強に費やしてる3000億ドルに比べたら取るに足らない金額である」と言ってのけたとか。ターナーさん、民主党支持だったのかしらん?
しかも、このグッドウィル・ゲームズ、1回で終わりじゃありませんでした。1990年にアメリカのシアトル。94年にはロシアのサンクト・ペテルブルク。98年にはニューヨーク。2001年にはオーストラリアのブリスベンで開かれてます。
しかし、2005年にアリゾナのフェニックスで予定されていた大会は中止。
タイムワーナーが積み重なる赤字に耐えきれず、降りたのでした。中継が3大ネットワークに乗らなかったことと(見られたのはTBSのケーブルに契約してる人だけ)、ブリスベン大会でオーストラリアの選手がメダルをバカスカ取ったことでアメリカの視聴者の関心が薄れたことが原因と言われています。
もしかして、この大会「無かったこと」にされてるんじゃ・・・・・・。
次は雰囲気を変えて、ノボローシスク市の大祖国戦争モニュメントなんぞを。
この街も「英雄都市」に指定されてますが、写真は反撃のきっかけとなった上陸地点に作られたモニュメントです。海からまさに兵士たちが上陸してくる様子がそのまま彫刻になっていて、こういうセンスはやっぱりすごいなあと思います。
ちなみに戦時下のノボローシスク市はナチス・ドイツ軍に占領され、市民は殺されるか、他の都市へ強制労働に狩りだされるかの二者択一でした。しかし、一世帯だけ手つかずで生き延びた家があるのだそうです。
その家の住人は、ドアに「チフス」と書いた木札を立てかけ、感染を恐れたドイツ兵は、その家にだけは入らなかったのだとか。
なんか、おとぎ話みたいな話です。
最後はロシア語散歩からロシア語で表現される動物や鳥の鳴き声、あるいはオノマトペについてです。
ロシア語でスズメの鳴き声は「チック、チリク、チック・チリク」と表現するそうです。そしてシジュウカラは「シーニィ・ジェニ、シーニィ・ジェニ、」と鳴くのだとか。
これは「青い日」という意味になるそうです。シジュウカラはロシア語で「シニッツァ」。これは「シーニィ(青)」が変化した言葉と言われてるそうで、実際、絵に描かれる時は青く塗られることが多いとか。名前が鳴き声からきたのか、羽根の色からきたのかはわからないそうです。
一方、ヒバリは特定の鳴き声を擬態語に表現することはなく「ズヴェニット」と呼ばれるそう。これは「金属製の音を出す」という言い方になります。
また、雌のウズラは「ピーチ・パダーチ、ピーチ・パダーチ」。なんか日本語の「ピーチク・パーチク」を連想しますが、「飲む、出す。飲む、出す」という意味になるのだとか。なんか意味深な。
ツルは「クルルィ、クルルィ」、カッコウは「ク・クー、ク・クー」」と鳴くそうです。この辺は日本人にもなんとなくわかります。
ちなみにロシアの古い言い伝えでは「自分の寿命を知りたければ、カッコウに聞け」と言うそうです。カッコウが何回「ク・クー」と言ったかを数えればよいのだとか。
今回はこんなところで。
ではでは~。