今日のソ連邦。今回の表紙はソ連が世界に誇るチェスの世界チャンピオン、ガリー・カスパロフです。うわぁ、若い。
カスパロフは、当時まだ23歳。史上最年少のチェス世界チャンピオンとして有名でした。ソ連に限らず西欧ではチェスはスポーツの一種と見なされ、世界王座をかけた対局となるとワールドカップのように中継されます。
今日のソ連邦でも、今回の「世界チェス選手権リターンマッチ」の様子が記事になっていますが、いつになく力のこもった内容で、ノーボスチ通信の記者も、熱くなってレポートしていることが伺えます。
この時の対戦相手は、こちらもソ連のグランドマスターで、前世界チャンピオンのアナトリー・カルポフ(35)。全部で24対局という試合は、レニングラードとロンドンで行われ、7月28日から10月9日までの2ヶ月におよんだのでした。
ちなみにカスパロフ、その後はIBMのコンピュータ「ディープ・ブルー」と戦ったりしてます。現在ではチェスを引退し、ロシアで政治家に転身。民主化運動に取り組んでいるそうです。
それにしても、表紙写真の背景のアルミホイルが気になります。どういう演出なんでしょね?
さて、今回もいろいろと盛りだくさんなのですが、話題が多様すぎてなかなかうまくまとまりません。
ハバフロスク観光にどうぞと言われてもなあ・・・。わたしも行ったことありますが、正直、あまりパッとしない街なんですよね。シベリア旅行のベースキャンプとしては便利なんでしょうけど。
とりあえず見栄え優先で「ソ連の膜工学」に関する記事をご紹介。
「膜工学って何?」と思いますが、要するにフィルター技術のことですね。水を濾過するとか、部屋の匂いを取るとか、そういう技術のハイテク版です。
相変わらず、キレイだけど肝心な部分はさっぱりわからない写し方がステキな写真です。
ソ連では生体膜というバイオテクノロジーに基づいたフィルター技術に力を入れていて、超純粋薬物やワクチンを生産していました。
当局の発表によると「製造工程に利用されるフィルター1トンに対して、3000トンの薬品材料、230トンの溶媒、172トンの界面活性剤、150トンの活性炭、260億キロカロリーの熱が節約され、同時に10万立方メートルの有害物質を水系に放出しなくて済む」とのこと。
う~む・・・・。ソ連の記事は、データだけは景気いいんですが・・・・。
その他の利用方法としては、やはり食品の保存や加工の分野が目立ちます。フィルターで酸素を除去して窒素を増やした空気を倉庫に満たし、収穫物の鮮度を保つとか、酸素濃度を高めた水による魚の養殖とか、生乳をフィルターに通して一度に数十種類の乳製品を作ることなどが行われているようです。
ついでに「科学技術ニュース」も。
【腎臓の血管の修復】は、一度、腎臓を取り出して、修復した後に体内に戻すとか。なんかブラックジャックで似たような手術があったような。
【深い地下用の作業衣】は、空調機能のある作業衣の紹介。これも似たような服を日本のメーカーでも作ってましたね。広江礼威氏がコミケで着てました。
【空気で電力を貯める】は今の日本でも応用できるかな? 堅い岩盤の中に高圧空気を閉じ込めて、必要になったら取り出して発電するというものです。水力発電の空気版ですね。
【脳の中心部への旅】は、なんだかスタートレックに出てきそうな脳手術の話。超音波で頭蓋骨を通り越して患部を治療するのだそうです。
【脚が出る水陸両用船】は、こういうのどうして写真を出してくれないんだよ、と文句を言いたくなる記事。詳しくは本文を参照してください。
最後は写真3点。
ボルゴグラード(旧スターリングラード)のママエフの丘にある祖国の母の像のメンテナンスに関する記事。クレーンや足場を使う代わりに山登りのスペシャリストたちに手伝ってもらったという記事です。
次は日本文学の翻訳者ボリス・ラスキン氏の記事から。ビリヤードに似た、ラトビアのゲームというのが興味深いです。日本でできるところあるのですかね?
ちなみにラスキン氏、短波ラジオを持っていて、日本のラジオ放送を聞いたりもするのだそうです。共産主義国家で海外のラジオを堂々と聞ける身分というのは、実はすごかったりします。
最後は、夢に出そうな恐いモニュメント。
初代の駐日ロシア総領事ゴシケビチの軌跡をたどる記事にあった一枚です。
このハティニ村は映画「炎628」のモデルになった村だと言われています。見てない人は見るべし。相応の覚悟を決めて。
なんか脈絡のないブログになっちまいましたが、まぁ、これがうちの通常営業ということで。
でわでわ~。
2012年6月23日土曜日
2012年6月9日土曜日
映画 アイアン・スカイ
月面ナチスの地球侵攻作戦を描いたトンデモ映画です。
ナチスの残党が南極やら火星やらで、どーたらこーたらというネタは、ミリオタやオカルト好きなら一度は妄想するバカ話ですが、まさか本気で作る奴がいるとは思いませんでした。
いや、面白かったです。
手加減するということを知らないフィンランドのユーモア・センスに、クソ真面目なジャーマン・リアリズムのテイスト、そこに底意地の悪さで知られるオーストラリアが加わって、ナチス・ネタと来れば、無事に済むはずがないのです。(一部、筆者の偏見が混ざっております)
時は2018年、アメリカ大統領選挙のキャンペーンだけのために立案された月面着陸プロジェクトが頓挫するところからストーリーは始まります。そこで宇宙飛行士が見たものは、1945年に滅びたはずのナチス第三帝国。彼らは月の裏側に秘密基地を作り、逆襲の機会を虎視眈々と狙っていたのでした。
極悪非道のナチスが、ついにその牙をむく!
しかし、心配ご無用。地球にはこれまた残虐無比で・・・でも、近頃はちょっと落ち目のアメリカ合衆国がふんぞり返っていたのでした。
この映画に出てくる合衆国大統領は、アメリカのジリノフスキー、サラ・ペイリンがモデル。そのクズっぷりは、映画史に残る史上最低の人物です。他にもさまざまなキャラが登場しますが、マトモな奴がいねぇ。
そう、ナチスはバカだが、アメリカはウルトラ・バカ。国連にもロクな奴がいません。でも、ヒロインのレナーテ・リヒター(ユリア・ディーツェ)は、かわいいぞ。
もちろん、史実にもとづくナチス・ネタや、それ以外のパロディなども満載され、SF的なガジェットもてんこ盛り。決して潤沢な予算で作られているわけではないので、時折、チープな部分もありますが、ここまでやれば大したものです。というか、「その辺でやめておけ」とツッコミ入れたくなることも。
日本では9月公開。見る人を選ぶ映画であることは確かですが、こんな酔狂なブログにおいでくださる方々にはオススメです。あ、劇場へお越しの際は、是非とも茶色のシャツに黒いネクタイを・・・ゲフンゲフン!
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