2015年3月11日水曜日

艦船模型の展示会 ~2015~ & 「お知らせ」

 3月もそろそろ折り返しという時期になんとか更新です。すっかりご無沙汰しており申し訳ありません。
 というわけで、前回に告知したミンダナオ会さまの艦船模型の展示会に行ってきました。戦艦武蔵も見つかったことだし、写真点数多めでお送りします(でも武蔵の作例は撮り損ねた)。また、お知らせもありますので最後まで是非お付き合いのほどを。

 てなわけで最初の画像ですが、毎年恒例のこの会、東京・中央区にある「アートはるみ」という多目的スペースで行われています。入口はこんな感じです。

 さて、まずは一枚のイラストをご覧ください。
 往年の艦船模型マニアなら一度は見ている1/700 ウォーターライン・シリーズのラインナップです。静岡県に拠点をおく模型会社が合同で立ち上げた企画で、タミヤ、アオシマ、ハセガワ、フジミによる静岡4社共同なんてのが記憶にあります。フジミは現在、組合から脱退していますが、ピットロードとか新しい模型会社も企画に準拠したキットを出していますので、現在の方が大きな広がりを見せている世界です。

ミンダナオ会の今回の野望は、このイラストを実際に再現してみせること。
これがそのジオラマ。かなり大きくてカメラに収まりませんでした。
艦船の配置がパンフレットに準拠しているのがお分かりいただけるでしょうか?

もちろん恒例の物量攻勢は今回も健在。「日本のふねぶね」というテーマなので、
帝国海軍に限らず古今東西のフネが並んでいます。
織田信長の鉄甲船なんてのもありましたよ。

 
   
とりあえず駆逐艦「吹雪」。沢山ある艦艇から何故、これを選んで撮影したのか?
・・・いや別に他意はありません。
次は駆逐艦「島風」。といっても1920年に就役した先代です(何故、断る?)。
艦首がえぐれたような形で魚雷発射管が配置されているのが面白いです。
加賀(左)と赤城(右)。竣工時の多段空母です。
2基の主砲に挟まれた航空甲板の真下に艦橋があります。
カッコいいけどやっぱりムチャな設計って気がします。
精密に作り込まれた戦艦。奥が「扶桑」だったかな?
ここまで仕上げるのでどれぐらいの日数がかかるのでしょう。
同じくこれまた精密に作られた重巡「摩耶」・・・で合ってると思う。
模型の撮影に気を取られてネームプレートをついつい忘れてしまうのです。
まぁ、今なら一発で当てられる人が大勢いそうですが。
こちらは重巡「高雄」・・・で、いいんだよな?
子供の頃、このように真正面や真後ろに撃てない砲配置はムダだと思っていました。でも模型で見ると、上部構造物が斜め後方への射撃も意識した設計になっているとわかります。真正面と真後ろに撃てないだけで、現実にカバーできる範囲はかなり広かったのですね。
重雷装艦というたまらない響きを持つ軽巡「北上」。こういう血迷った設計は大好きです。ソ連=ロシアのスラヴァ級ミサイル巡洋艦はこいつの直系の子孫なのかもしれません。
空母「海鷹」。「うみたか」ではなく「かいよう」と読みます。
海面の展示台に乗せるとまた趣が変わって見えます。
飛行甲板・エレベーター部のアップ。ほんとよくできてます。
しょぼいコンデジですが、マクロ機能で迫ってみました。
壊れやすいパーツがびっしりなので、触れないよう気を使いました。
うーむ、そろそろ新しいカメラが欲しい・・・。
甘味処給糧艦「間宮」。
艦これブームがなければ、まずキット化されなかっただろうと、
ミンダナオ会の人が真顔でおっしゃっておりました。
これがあると大和の艤装中の有名な写真を再現できるのですよね。
2等水雷艇から水雷艇「第六七号型」。違いがよくわかりません。
左側にチラリと写っているのは同じく2等水雷艇の水雷艇「第二二号型」の
これまた後期型。こちらも違いがよくわかりません。
こんなのが26隻も並んでいましたが、やっぱり違いがよくわかりません。
航空戦艦「伊勢」・・・たぶん。
いろいろな角度から撮りましたが、真正面からのを。
同じく航空戦艦「伊勢」。こちらは1/350スケール。これでもかと作り込まれています。
これぐらいの完成度なら床の間に置いて飾っても自慢できそうです。
でも掃除が大変そうだからガラスケースに入れないと。
斜め前方からも。あちらこちらに人影が見えます。
艦橋部のアップ。こちらにも人が。
ズラリと並んでいるのは双眼鏡です。
七つの海を支配したともっぱらの評判の大日本帝国陸軍の「あきつ丸」。
上陸用舟艇と航空機運用能力を持つ先進的な設計・・・にも関わらず
どこかキワモノ的な空気が漂うのは中の人たちのせいでしょうか。
当時を憶えている人がいるわけないのは当たり前ですが、
あまり触れられない第一次世界大戦。日本は戦勝国でした(一応)。
日本海軍に「地中海艦隊」があったというのは、ちょっと面白い。
こんな辛気臭いマイナーな艦作った人もいます(失礼!)。
巡洋艦「畝傍」。武蔵は見つかったけど、こっちは無理だろうなぁ。
遭難つながりで(ヲイ)トルコ海軍のエルトゥールル号。
湾岸戦争との関連で何度かテレビに取り上げられているので、
日本でもかなり有名になっているのではないでしょうか。
どうせなら、さらに時代を遡って黒船来航。日本に開国を迫ったペリーは
サスケハナに乗艦していました。これが1853年のこと。
この時はまだチョンマゲに刀だった日本人が、88年後に航空母艦4隻も作って
真珠湾を火の海にするとか・・・想像できるわけありませんわ。
灯台巡視船「明治丸」。明治天皇が行幸の際に乗船したことで有名です。
これを見た時は思わずニヤリ。というのも、展示会場のある「アートはるみ」から
ほど近い場所に、この明治丸の実物が保存展示されているのです。
江東区越中島の東京海洋大学(旧・商船大学)の敷地内にあります。
毎日ではありませんが、定期的に一般公開していて中に入れます。日時を外しても
相生橋という橋からも見ることができますし、校門のフェンス越しに見ることもできます。
こちらも実物つながりで。病院船「氷川丸」です。
現在は優雅な客船の趣を残しつつ横浜に係留されています。


こんな悪趣味(笑)な展示もありました。
右から転覆した空母「天城」。同じく転覆した軽巡「大淀」。
奥にいるのはビキニ環礁に送られる戦艦「長門」の最後の姿です。
今回は水上艦艇のみで潜水艦は取り上げられていないのですが、
こちらはゲスト出展。イ-400のカットモデルです。
やっと現代にたどりついた・・・。
海上自衛隊です。のっぺりしたイージス艦が増えましたが
数が揃うとそれなりの迫力があります。
こんなキットもあるんですねぇ。とりあえずフネのキットはすべてチェックして
誰かしらが購入・組み立てるというのがミンダナオ会のすごいところ。
海洋資源つながりで(?)。戦後の食料不足を救った軍艦改造の捕鯨船です。
ちゃんと「マルハ」の大漁旗が。艦尾に乗っているのはマッコウクジラかな?


大型捕鯨船も。
まな板・・・じゃない甲板に乗っているのはシロナガスクジラかしらん?
子供の頃に見た「ふねの図鑑」には捕鯨船が出てましたが
船尾にスロープがある独特の構造でしたね。
海洋権益と言えば、忘れちゃいけない海上保安庁。
巡視船の模型がこんなに並ぶ展示会って、まず無いと思います。
ミンダナオ会といったらジオラマも。今回はすっきりとした展示です。
でも実際、海上自衛隊の基地周辺はこざっぱりしてる印象があります。
護衛艦「ひゅうが」。エレベーターの中も丁寧に作り込まれています。
ヘリのローターが展開したままなのはご愛嬌。
しかし、ヘリも数が揃うと飛行甲板が手狭に感じますな。


こちらは太平洋戦争中の日本海軍の軍港の様子。といっても勇ましい戦闘艦艇の姿は見当たりません。

というわけで突然ですが、お知らせです。

この世界の片隅に 制作支援


上のリンクは劇場用アニメーション作品「この世界の片隅で」を支援するメンバーを募集するサイトです。物語は太平洋戦争末期、広島・呉で展開します。

監督の片渕須直氏とはアニメ版ブラックラグーンでお会いし、微力ながらお仕事をちょこっと手伝わせていただきました。監督はその後、「マイマイ新子と千年の魔法」を発表するなど精力的に活動されています。この作品についても以前から構想を伺っておりました。凝り性のカントクのことですから、綿密なリサーチを繰り返しているわけで、その細部へのこだわりを部外者ながらも感じておりました。しかし、痛快な戦闘シーンがあるわけでもない作品を完成させるというのは大変なようです。

上記のリンクは、クラウド・ファンディングにより制作資金を草の根から応援しようというもので、当サイトを訪問していただいている皆さんの中で、興味がわいたという方がいらっしゃれば、ちょこっとでも覗いていただければと存じます。

念のため申し上げますと、片渕カントクからは何の指示もお願いも受けておりません。
津久田重吾が自分のサイトで勝手にリンクを張っているだけですので、
一緒に応援しようと思ってもらえる人が、ひとりでもいらっしゃれば嬉しいです。
わたし自身、見たくてしょうがないので、よろしくお願いいたします。
(あと一回ぐらい告知繰り返すな、こりゃ)


ゲームラボの方もよろしく。
今年は何やらバタバタと忙しくなりそうです。

次からはいつもの「昨日のソ連邦」に戻ります。

でわでわ~。


2015年1月31日土曜日

艦船模型展示会のお知らせ

すっかりご無沙汰しております。
なかなか時間が取れませんで申し訳ありません。
そんなわけで、余所さまのイベント告知でお茶を濁します。

なにげに当ブログでもトップクラスのアクセス数を誇る「ミンダナオ会さま」の艦船模型展示会のお知らせです。きたる2月14(土)、15日(土)の2日間。 東京・中央区にあります「アートはるみ」という多目的スペースで恒例の展示会が行われます。(地下鉄有楽町線/大江戸線「月島駅」から徒歩となります)
今回は、今話題の大日本帝国海軍です。わたしも顔を出して、しっかりブログ用のネタ写真を撮影しに参ります。なお、念のため申し上げますが、Tバック、ウサギ耳、ニーソのコスプレねーちゃんとかはおりませんので、あしからずご了承ください。


2015年1月1日木曜日

2015 謹賀新年

С Новым Годом!
A HAPPY NEW YEAR!


新年あけましておめでとうございます。
旧年中はご訪問いただきありがとうございました。
皆様の健康とますますのご活躍を祈念しております。
本年もよろしくお願いいたします。

津久田重吾 拝



2014年12月6日土曜日

今日のソ連邦  第5号 1988年3月1日

あちゃー・・・ついに師走であります。
 今回は「ソ日経済合同委員会」の特集がメインですが、共同声明とか活動報告ばかりでちょっと地味です。注目すべき点は各省庁や企業が独立して投資を呼び込んだり、貿易を呼びかけたりしてるところでしょうか。日本に対しては極東・シベリアの開発に取り込みたい様子が伺えます。

 個人的に強い興味を惹かれたのは「視点を変えれば」というコラム。これまでにも本誌で「ソ連の生活の質」というタイトルでソ連社会を採点してきた社会学者のビタリー・トレチャコフのコーナーです。
タイトルは「推理小説は文明に必要か」というもの。
別にソ連の公式見解を反映したものではなく、あくまで筆者の個人的な意見ですが、書き出しはすこぶる挑発的です。

「推理小説は“文学”のカテゴリーから抹消するだけでなく、そもそも我々の現代文明から追放する必要があると、私は確信している」

 わ~お。はてさて、これはどうしたことでしょうね?
 日本でもマンガやアニメがしばしば俗悪のレッテルを貼られますし、ラノベなんかも「あんなものは小説じゃない~式」の批判が見られたこともあります。トレチャコフ氏の真意や如何に?

 彼はソ連の推理小説家との対話を通し、作家たちの考え方が「どれをとっても人類の正常な生活の理想と、あらゆる刑事もの(ソ連では民警もの)の物語の理念とが乖離している」と強く実感するに至ったと言います。
 ただ、ここで取り上げられてる推理小説にアガサ・クリスティやコナン・ドイル、ジョルジュ・シムノンなどは含まれません。彼いわく「これらの作家は推理小説家というより風俗社会学者だ」と主張します。「これらの小説かが重視していたのは現代の作家が描いているものではなく、その奥で犯罪が熟している環境の社会的・心理的な描写である」のだとか。
 
 さて、トレチャコフ氏がこのコラムを書こう思い立った直接のきっかけですが、国際推理・政治小説協会なる団体の会長にソ連の推理作家ユリアン・セミョーノフが就任したことのようです。セミョーノフは「推理小説は社会的不正をただす武器である」と述べ、ソ連における推理映画の本数を増やすべきだと主張。「それは若者たちが見たがっているものであり、善意・ヒューマニズム・勇気・名誉心を育むものだ」と言います。
 これがトレチャコフ氏の癇に触ったようです。彼は「これらの主張のすべてに賛成しない」と噛みつきます。1985年、ソ連では12歳から60歳までの男女4247人を対象にアンケート調査が行われました。
 16歳以下では推理小説の人気はSFに次いで2位。30歳以下では3位、31~60歳になるといずれも1位だったそうです。職種で分類してみても一般労働者、技術者、農業従事者、医師、研究者など、多岐に渡って推理小説は好きな小説ジャンルの上位にランキングしています。

 ここでトレチャコフ氏は我々から見るといささか古くさい論理を展開します。
 すなわち「ソ連社会が西側の多くの国々で見られる暴力の波に襲われないで済んでいるのは、“刑事もの”の生産量が、西側諸国に比べて少なかったからだ」というのです。来ましたよ。彼にしてみればセミョーノフの主張は「この“不足分”を補いたがっているのだ」と強く批判しています。
 対する推理作家たちの言い分でよく見られるのは「ドストエフスキーの“罪と罰”や“カラマーゾフの兄弟”だって本質的には推理小説だ」というもの。トレチャコフ氏は「こんなことを言えるのはドストエフスキーを軽んじている者にしかできないことだ」と怒り心頭のようです。
 彼が問題視している点をまとめると、刑事なり、取調官なりの正義を描くためには、犯罪そのものを描写せざるを得ない。つまり正義の宣伝と同じように、暴力や犯罪の手口、時にロマンチックにさえ描かれる犯罪者の贅沢ぶり、倒錯した趣味などを宣伝しているのだ、というものです。
 ソ連の推理小説の現状は「1.暴力礼賛、2.犯罪と犯罪者そのものの美化、3.逮捕に至るプロセスにおける犯罪者に対する暴力の正当化」であふれかえっており、これらが映画やテレビドラマでさらに助長、拡大しているというのです。
 あの・・・なんだか80年代のソ連の推理小説とか刑事ドラマとかめちゃくちゃ見たくなってくるんですが。ここまで批判するからには凄いものを想像しちゃうんですが。

次は気分を変えてミンスク自動車工場(MAZ=マズ)のカラー写真いろいろ。ベロルシア(ベラルーシ)共和国には3つの自動車メーカーがあり、残りふたつはベロルシア自動車工場(BelAZ=ベラズ)、モギリョフ自動車工場(MoAZ=モアズ)と言います。これらは全部で11の関連企業からなる産業複合体で正式名称を「10月大革命記念ベロルシア大型自動車生産合同」と言います。
 
 工場では現在、ペレストロイカによって「労働集団評議会」なるものが設置され、「自分のカネは自分で稼ぐ」方式への転換を進めているとのこと。ただ、既存の組織もまだ残っており、それらを廃止するのが大変です。
 旧組織には10人以上のメンバーで構成される「作業班長評議会」が数百もあり、さらに常設の生産会議があります。内訳は全工場生産会議がひとつ、工場、職場、管理部にそれぞれ30、これに人民監督機関、ボランティアの経済分析ビューロー、科学的労働組織ビューロー、ボランティアの要員評議会が加わり、非公式の自主管理グループに至っては無数にあります。これらの集団に全労働者の半数が何らかの形で参加しており、まさに自動車作ってるのか会議してるのかわからない状態だったとか。確かにこりゃ、すげぇわ・・・。

次は職人の世界のお話。モスクワ郊外のサルティコフカという街にある鍛造科学技術博物館の敷地内で開催された「第2回全ソ美術鍛冶フェスティバル」より、鍛冶屋のコンクールの話題。
 一見するとその辺の森でやっているイベントという感じで、どんな形態の博物館なのか興味があります。鉄製の台には耐火レンカが敷きつめられ、その上でコークスを燃やしているようですが、火力のコントロールとか大変そうです。あと、消火用水のバケツが台の下に置いてありますが、それっていざという時、取り出せないような・・・。

さて、この号が出た1988年はモスクワ芸術座創立90周年にあたります。そこで東京の日生劇場でも記念公演が行われたとか。日本とソ連の演劇界はなかなか密接な関係があるんですな。
 もちろん来日するから日本の演目というわけではなく、モスクワでもいろいろ工夫してます。ロシア人が日本の衣装を着ているのはなかなか面白いですが、まぁ、日本人だって海外のオペラとかではそれなりの衣装を着ますからね。
 
 ところで、さすがにここでは触れられていませんが、ソ連と日本の演劇にまつわる面白いエピソードがあります。
 モスクワに赴任中だった日本の商社の奥さんが、友人のロシア人に声をかけられました。とあるアマチュア劇団が「蝶々夫人」をやるので着物の着付けをしてほしいとのこと。で、いざ出かけてみて仰天。
 主役の蝶々夫人はもちろん、出演者全員が「必勝」と書かれたハチマキをしていたのです。当時、ソ連のメディアが取り上げる日本のニュースは労働争議やデモばかりだったので、劇団の人たちは日本人は皆、必勝のハチマキをしているものだと思い込んでいたのだとか。メイエルホリドが草葉の陰で泣いている・・・と言いたいところですが、私たち日本人もどこでやらかすかわからないので、注意したいところです。

 最後は国際婦人デーにちなんだ特集。
 国際婦人デーは3月8日。1904年、アメリカで婦人参政権を求めるデモが行われたことがきっかけで設立された記念日です。ソ連では2月革命の日だったこともあり、重要な記念日に位置づけられます。といっても、女性解放とか男女平等などの硬派なフェミニズム運動からは次第に遠ざかり、ソ連ではごく普通の記念日になって今に至ります。とはいえ、ロシア女性にとっては誕生日、結婚記念日に次いで重要な日であり、この日に花を送ることを忘れると旦那の査定は確実にマイナス評価となります。夫婦や恋人でなくても、職場の女性に花を贈るのが一般的で、これは日本でもメジャーになっていい習慣なんじゃないかと思います。(別に花キューピットの回し者じゃありません)
 さて、記事は山林監督官レーナ・マーシナの日常です。愛犬バルボスとともにカルバート山脈の自然を守るのが彼女の仕事。なんとモスクワ大学卒業の才媛です。普通ならモスクワで華やかな生活が約束されているのに、ウクライナの国営林業所で働く道を選びました。
 規則では制服を着なければいけませんが無視。なんかソ連って規則一点張りのようで、妙なところが自由なんですよね。
 彼女の仕事でも特に重要なのは密猟の取り締まり。記事では興味深いエピソードが語られます。この地域は公認された狩猟地でもあり、地元のアマチュア狩猟クラブに入れば、イノシシやノロ鹿、ウサギ、キツネ、キジなどの野鳥・小動物狩猟許可証が発行されます。しかし、保護動物であるアカ鹿は一切の許可が出ません。アカ鹿はカルパートの森の王と呼ばれています。
 ある日、レーナはそのアカ鹿を狩っている密漁者の現場に遭遇します。早速、摘発しますが、相手は共産党の高級幹部たちでした。「俺たちが誰だかわからないのか?」とすごまれたレーナですが、怯まずに調書を作って送検。しかし、結果はひどいものでした。
 調書はあっさり握りつぶされ、林業所には上級官庁の調査委員会が査察が入ります。彼らはあらゆる書類をひっくり返し、文字通り重箱の隅をつつくように欠点をあげつらい、厳しく譴責してきました。おかげでレーナは一時期、人間嫌いになってしまったそうです。
 その後、彼女は地元の自然保護協会の地区評議会書記を兼務し(ちゃんと給与が支払われます)、自然保護活動にも力を入れているそうです。この地域でも大規模な開発計画がひしひしと押し寄せ、酸性雨の影響でオークの梢が枯れ始めているとか。
 現在、どうなっているのか、ちょっと気がかりですね。



今回はこんなところで。
でわでわ~



ゲームラボ(三才ブックス)でも鋭意連載中です。こちらもよろしく~。  



2014年11月9日日曜日

お知らせ

ここ数日、Bloggerのjpドメインで障害が発生していたらしく、閲覧できない状態でした。
まだ不安定な感じですが、運営からは素っ気ないアナウンスがあるだけです。
とはいえ、この文章が読めるとすれば、復旧していることになります。

お騒がせしました。





時刻表ぴったり!




 

2014年10月26日日曜日

今日のソ連邦  第4号 1988年2月15日

なんとか10月中に更新できそうです。

 前回の1月1日号ではゴルバチョフ書記長の著作「ペレストロイカ」(講談社刊)の序文が紹介されていましたが、この号ではそれを読んだ3人の日本人の感想が紹介されています。 

 九州大学教授の荒巻正憲氏は「全人類への警告と行動の指針」。女性労働問題研究者の柴山恵美子氏は「女性労働者の地位向上に期待」。国際問題評論家の斎藤玄氏は「グローバルな背景に注目」と題してそれぞれ論評しています。(肩書はいずれも本誌掲載当時のもの)
ソ連の広報誌という性格上、批判的なトーンは皆無でゴルバチョフ書記長のリーダーシップに期待する内容が多かったのですが、ソ連崩壊という「オチ」を知っている身としてはなんとも言えない気分です。
 他の記事で目に留まるのは、社会学者ビタリー・トレチャコフ氏によるコラム「ソ連の生活の質」。今回が最終回です。テーマは「雇用問題」。この分野については、さすがにソ連はドヤ顔であります。
 統計によると、1928年4月の都市部における失業者数は157万人もいたのが、1930年10月には24万人に激減し、同年末にはついにゼロとなり、それは現在も続いているとのこと。そうだよなぁ。そのために革命やったようなもんだもんなぁ。

 では、失業がないのに「雇用問題」とは?
 トレチャコフ氏によると、ソ連では潜在的な余剰人員が1000万人います。これらは、本来ひとりで十分なはずの職場に必要以上に配置されている人員で、将来的にソ連経済を脅かすかもしれない存在と見なされています。 
 
 しかし、トレチャコフ氏は楽観的かつ強気です。
 それら余剰人員は工業生産の発達(つまり工場を増やし、機械の稼働率をあげる)ことで400万人を吸収することが可能。さらに現在の貧困なサービス産業を拡充すれば1300万人から1900万人の雇用が創出され、余剰どころか、むしろ人手不足が発生するだろうとまで言っています。 
 
 このコラムではトレチャコフ氏がさまざまな分野を10点満点で採点してますが、雇用については9点を付けています。ちなみに他の分野ですと「健康・7点」「食生活・8点」「衣料・6点」「教育・9点」「家庭の幸福・8点」「サービス部門・3点」「消費と貯蓄・7点」「住宅・6点」「休息と娯楽・6点」「社会保障・7点」「コミュニケーション・6点」となっています。

 さて、3番目の画像ですが、普段はスキャンしてない表2ページの広告です。今は無きソ連物産専門店「白樺(ベリョースカ)」。そこから十月革命記念のルーブルコインが発売されるというもの。なかなかいいお値段ですが、材質が明記されてないのが残念です。切手などもそうですが、ソ連ってこういう外貨稼ぎについてはフットワーク軽いんですよね。

次は表紙にもなっているコワモテのおじさんの特集記事。「脊椎指圧療法の名人カシヤン医師」その人です。
 ニコライ・カシヤンはウクライナのコペリャキ市に診療所を構えています。治療はシンプルそのもの。指先で脊椎を触り、症状を見極めると、圧力を加えるだけ。いわゆる指圧とかカイロプラクティクと呼ばれる治療法です。
 画像は治療の様子。12歳の女の子のエロい背中が見えますが、左右の肩甲骨が明らかに不自然なのがわかります。
 ただ、このカシヤン。一筋縄ではいかない人物でもあります。診療が始まるのは決まって真夜中。医学界からは「ある種の神秘主義ではないのか?」との疑問が出されています。
 これについての彼の答えは明快です。この人、確かに医者なのですが、昼間は別の仕事をしています。正式な職業は「身体障害者専門の寄宿学校における精神科医長」というもの。つまり指圧は副業なのですな。
 それでもカシヤンのところには大勢の患者が押し寄せます。もちろんすべて治せるわけではありません。彼が治すのは脊椎に原因があるものだけ。もし違っていれば「これはわたしのところではない」と即答します。

 カシヤンは若いころ、軍の衛生兵でした。しかし、肺病をわずらい除隊を余儀なくされます。同僚の医師たちも手の施しようがなく、彼は死を覚悟して帰郷するのですが、そんな彼を救ったのが祖母でした。祖母は革命以前の古いロシアの民間療法に精通し、薬草やアナグマの脂肪などを駆使して彼の命を救ったのです。また、カシヤンの父は近所でも評判の「骨接ぎ」でした。ろくに読み書きもできず、医学書とも無縁の人物でしたが、家の中にはそこかしこに人体骨格や頭蓋骨があり、カシヤンはそれを参考書として脊椎の構造を学んだのです。

 さて、この記事の最後は興味深い記述で締めくくられています。
 もともとソ連の有名な雜誌「アガニョーク」の記事なのですが、記者はこう言ってるのです。
「この記事が発表されれば、編集部とカシヤンのもとに手紙や依頼が殺到するでしょう。しかし、どうか手紙を出さないでください。カシヤンも編集部もこれ以上の患者を助けられる状況にはありません。かわりにコペリャキ市を管轄する総医長、あるいは地区保健部、または州保健局に、医師の診断書と紹介状を送ってください。手紙が殺到すれば、それが連邦保健省を動かし、この課題に国全体として取り組むようになるはずです」

 つまり、カシヤンの記事は、満足な治療を受けられない人々が大勢いる現実を浮き彫りにし、不十分な医療体制の拡充を訴えるものだったわけです。回りくどい気もしますが、いかにもソ連らしい記事とも言えます。

次はラトビア共和国の首都リガにあるVEF(電機生産合同)の食堂についての記事。VEFはラジオや電話機、小型コンピューター通信ステーション、同時通訳装置などを生産し、世界80カ国に輸出している電機メーカーです。他にもスポーツ競技場の電光掲示板やボブスレーのソリなども作っているとか。
 
 この工場では給食コンビナートの機械化に取り組み、サナトリウムやスポーツ施設、食料品店や幼稚園などを備えた複合施設を整備しました。つまり出勤してくれば、工場内で大抵の用事が済ませられるというわけです。いかにも機械メーカーらしく、関連機器類をすべて自前で設計し、組み立てや設置も社員が行ったとのこと。画像には食堂の様子が映っています。

 入り口は自動改札で60コペイカを入れるとゲートが開く仕組み。これはそのまま社員食堂のランチ代になります。同じ規格の4つのトレーには主菜、副菜、スープ、デザートなどが盛りつけられています。テーブルの中央には回転式のケースがあり、ナイフやフォークなどのカトラリー、その反対側にはパンが入っています。真ん中は紙ナプキン、塩、コショウ、あとはマスタード。ロシアでは黒パンにマスタードを塗って食べることが多いんですよね。
 また、毎日の食事代を給料日に一括して差し引くという人にはカードがあります。端末にはロシア語とラトビア語が併記されています。

続く記事は砂漠の古都ヒワ。ウズベク共和国の首都サマルカンドから北西に630キロほどの場所にあります。ヒワは16世紀に栄えたヒワ汗国の首都で、宮殿と城砦を兼ねた内部都市を持ちます。ここはイチャン・カラと呼ばれ、本来はここがヒワの都市部。現在では革命後に整備された新市街と合わせた全体がヒワの街です。

 ヒワの民族衣裳は独特のカラフルな柄で、これを現代風のワンピースに仕立てたものが主流。スタイルのいい女性が着るとエキゾチックな魅力をかもしだすのですが、この地方では眉墨でマユゲをつなげるのがオシャレなメイクとされているので、個人的にはちょっと残念・・・。所変われば美人の定義も変わります。


 最後はガラリと変わってコミ自治共和国の民族衣裳。バレンツ海に面し、チュメニ州、スベルドロフスク州、アルハンゲリスク州に囲まれたヨーロッパ北東部の少数民族の国です。
 首都はシクチフカ。総人口は100万人ちょっと。面積はフランスよりやや小さいぐらい。ここはウィンタースポーツが盛んで、ソ連のスキー選手の強化キャンプがいくつもあることで有名です。

 コミ人はフィン・ウゴル語派に属し、文字はロシア文字に似たものを使っています。コミ語の出版物で代表的なのは新聞「ユグイド・トゥイ(明るい道)」や雜誌「ボイブィブ・コドズブ(北極星)」など。ちょっと辞書とか欲しくなってきました。ヨーロッパの少数民族も数え上げたらキリがないです。


今回はこんなところで。
最近、滞りがちですが、なるべくがんばって更新しますのでよろしくです。
でわでわ~



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