2013年11月23日土曜日

今日のソ連邦  第11号 1987年6月1日

年の瀬が押し迫り、すっかり寒くなりました。
なんかバタバタしだしたので、できるうちに更新。

今回は国際児童擁護デー特集。表紙はソ連の平和大使カーチャ・ルイチョワちゃん。日本からの手紙に返事を書いてるところです。
机には、ちゃっかり今日のソ連邦や日本の民芸品などが配置され、光の加減などもしっかり計算された写真です。

彼女に手紙を送ったのは静岡県に済む勝呂志保さん。小学6年生です。さすがに画像は控えますが、本誌ではカーチャと文通したい人のために彼女の住所(マジか?)が掲載されてます。手紙は英語でOKとのこと。
もっとも彼女の文通相手は世界中にいるそうで、米国の平和団体に招かれて米国訪問も実現してます。タイトルや内容は不明ですが映画にも出てるそうで、すっかりアイドルです。

国際児童擁護デーとは1949年11月にソ連で開催された国際民主女性連盟が定めた日。国連も賛同し、子供達の権利や生命、健康を守ることが宣言されています。現在のロシアでも関連するイベントなどが多く開催されてるとか。

もっとも本誌の内容は子供たちによる平和運動の紹介がメイン。国際的反戦団体「平和を作る子供たち」の企画で、「国際こども平和使節団」がモスクワを訪れたというものです。顔ぶれはノルウェー、ソ連、インド、ケニア、メキシコ、ニュージーランド、アメリカ、そして日本です。子供たちはモスクワ観光を楽しんだ他、ピオネール宮殿で同世代の子供たちと交流し、クレムリンではグロムイコ最高会議幹部会議長と会見。しかめっ面がトレードマークのグロムイコが、どんな顔で子供たちと会ったのか興味があるところですが、残念ながら写真はありませんでした。

その他、目を引いた記事は宇宙ステーション・ミールに接続される予定の新型モジュール「クワント」がドッキングに失敗したというもの。あと数十センチで完了するというところでクワントが止まってしまい、どうしてもドッキングできないとか。そこでステーションに滞在していた宇宙飛行士が船外活動でドッキング・モジュールを確認したところ、なんとユニットの軸に布製の袋が絡みついていました。
経験豊富なソ連宇宙局でも初めての事態でまさに「どうしてこうなった?」状態。結局、飛行士たちが手作業で布を除去して無事にドッキングさせたのですが、ドッキングの様子を、宇宙飛行士が肉眼で外から見たのはこの時が史上初だったそうです。

次の記事は来日したソ連原子力産業大臣の記者会見の模様。かいつまんで発言を拾いますと、

「原子力発電に対するソ連の戦略は、チェルノブイリ事故の後も変わっていない。原子力による発電と熱供給1985年を基準にして90年までは2倍。95年に3倍以上。2000年には5倍に増える」
「チェルノブイリ原発では無事だった1号機、2号機、3号機の原子炉を再稼働させ、4号炉の封鎖は完了している」
えーと・・・詳しくはページを拡大してお読みください。 


お次はモスクワの歴史。
17世紀に建てられた聖母昇天教会の壁面を彩った美しいタイルの物語です。モスクワも歴史のある街ですから、あちこち掘り返すと色々なものが出てくるわけで、それらの発掘や研究、修復はジェルジンスキー広場にほど近いモスクワ歴史・改修博物館の研究員や学芸員たちによって行われています。

聖母昇天教会が建てられた場所はゴンチャール(гончар)通りで、もともとは陶工たちの同業組合教会として計画されたのだとか。ちなみにゴンチャールとは「陶工」という意味です。
ここには70人もの陶工が暮らし、事務所と工房がありました。中でも名高い陶工は「ステパン・イワノフ」。仲間たちからのあだ名は「半悪魔」。別に邪悪な人間というわけではなく、おそらく人間技とは思えない名品を生み出していたからだろうと推測されてます。

そのステパンの窯がモスクワの中心部にあるタガンスキー丘で見つかりました。しかも、中には300個に及ぶ完成したタイルがそのまま残されていたのです。放置されていた理由は謎です。
当時は戦乱の時代でもありましたから、敵の襲撃を受けて逃げたか、殺されたか、あるいは捕虜にされたという説もあります。
その後、この地には別の陶工が工房を構え、古い窯は彼らの失敗作の廃棄場所となります。その奥深くに天下の名品があるとは誰も気づかないまま、廃棄は続けられ、そのおかげでここからはあらゆる年代や様式の装飾タイルが見つかるのだそうです。

最後は共和国の紹介。今回はキルギス共和国。現在のキルギスタンです。
ソ連中央アジアの北東、テンシャン山脈の麓・・・ではなくその上にある国です。実際、雲より高い山々の国と呼ばれています。
共和国内には標高500メートル以下の土地はありません。ソ連には7000メートル級の高山が3つありますが、そのうちの2つがキルギスにあります。レーニン峰(7134メートル)とパヴェーダ峰(7439メートル)です。これらの名前は現在も変わっていないようです。

キルギス人は中ぐらいの背丈で(これ、どういう基準なんだか)、がっちりした体格。顔は浅黒くて丸く、頬骨が張ってます。目は黒く、細くてまぶたは少し垂れ気味。髪は黒くて濃く、直毛です。
革命前には文字が無かったため、歴史や叙事詩は口伝で残されてきました。遊牧民としての暮らしや戦争の歴史などをまとめたものを「マナス」と呼びます。
主な産業は畜産と農業。ソ連では「畜産家の日」や「羊飼いの日」などを定め、祝日になっています。祭での最大の呼び物は競馬。美しく飾りたてた馬に民族衣裳でまたがり、5~6キロの距離を競います。この競馬には女性も参加します。

今回はこんな所で。
でわでわ~。

ゲームラボ(三才ブックス)でも鋭意、連載中です。こちらよろしく~。






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