2015年4月15日水曜日

今日のソ連邦  第8号 1988年4月15日

相変わらず、いろいろバタバタしております。このまま放置してると、いつ更新できるか、マジで怪しくなってきそうなので、ちょっとやっつけ気味ですがご容赦を。
というわけで今回は「今日のソ連邦 創刊30周年記念号」です。冒頭には外務大臣のシェワルナゼ氏と駐日ソ連大使のソロビヨフ氏からのお祝いのメッセージが寄せられています。

この広報誌が創刊された30年前というと1958年。これは日ソ国交正常化の2年後です。月2回刊行なので、この号で通巻700号。このブログで紹介しているのはB5サイズですが、当初はA4サイズでした。この古い時代のパックナンバーも若干ありますので、そのうち取り上げる予定です。

さて、今回は30年の歩みを10年ごとの区切りで紹介する構成なので、見開きページが多いです。

最初は1958~1968の「その1」。
スポーツや音楽、演劇、映画などが紹介されています。ボンダルチューク監督の「戦争と平和」は現代ではありえないスケールのエキストラで有名。

1958~1968の「その2」ではチュメニ油田や原子力砕氷船レーニン号の記事。レーニン号は原子炉事故を起こして死者を出しています。また、近視矯正のRK手術で有名なフョードロフ博士もこの頃からマスコミの寵児になっています。
この記事で見るまで知らなかったのはソ連水兵の遭難事件。アメリカの空母に救助されたそうですが、フルシチョフ時代で良かったなぁ。

1958~1968の「その3」では世界最初の原子力発電所建設のニュース。また、1年ほどオーバーしてますが、1969年にモスクワで開催された「国際共産党・労働者党会議」の様子が取り上げられています。さしずめ「世界のアカ大集合」という様相です。


次の節目は1969~1978の10年。「その1」ではクラシ
ック音楽好きなら知らぬ者がいないリヒテルが登場。なんか浮かない顔してますが、お疲れなんでしょうねぇ。

左下の見つめ合うふたりは作曲家のアラム・ハチャトゥリアン(左)と演出巻のユーリー・グリゴロヴィチ。ハチャトゥリアンはグルジア生まれのアルメニア人で「剣の舞」というダイナミックな楽曲で有名です。ちなみに、ふたりとも芸術面での功績で「レーニン賞」を授与されたとありますが、これは「Ленинская премия」という科学や芸術面での功績に限定された褒賞のことОрден Ленина(レーニン勲章)」とは別モノです

1969~1978の「その2」はモスクワの近代的な目抜き通り「カリーニン大通り」のニュース。「21世紀の通り」と呼ばれる一方「モスクワの入れ歯」といった辛辣な表現もあったとのこと。社会主義国家ソ連でも古いものを破壊する再開発には批判的な意見が出ます。
左ページにはコンコルドのそっくりさん「Tu-144」のデビューのニュース。フランス人は「コンコルドの設計図を盗みやがった」とブツブツ言いますが、写真の巨大風洞実験などを見ればわかるように(盗んだとしても)ソ連の航空界もやるべきことはやっていました。でも、この機体はフランスのル・ブールジュ航空ショーで事故を起こし、墜落してしまいます。

1969~1978の「その3」では1976年にモスクワを訪れた土光経団連会長の記事。記念撮影の中央に収まるブレジネフ書記長の胸に注目です。なんと! 金星メダルがたったの2個! この頃はまだ謙虚な人だったんだなー(棒)。

さて、さくさくと進めます。
1979~1988の「その1」。このブログの過去記事でも紹介した画像がちらほら出てきます。モスクワオリンピックとグッドウィルゲームの開催などの記事は、なんだかんだで西側の五輪ポイコットがソ連のトラウマになっていることを示唆しています。

1979~1988の「その2」はバイカル・アムール鉄道(バム鉄道)の全線開通のニュース。第二のシベリア鉄道として現在もロシア極東の大動脈です。そして忘れてはならないチェルノブイリ原発事故。
1958~1969の「その2」で紹介したフョードロフ博士は、その治療法に懐疑的な意見もぶつけられてきた人ですが、ここに至り、ようやく世界的な評価を得て、レーニン賞と社会主義労働英雄の称号を手に入れます。

1979~1988の「その3」は第27回ソ連共産党大会とソ連邦成立70周年。ゴルバチョフのペレストロイカが本格始動していきます。右下のツーショットはゴルバチョフ書記長と安倍外務大臣。現在、首相を務めているアベ・ジュニアの父親です。やっぱり顔、似てるなぁ。

最後はゴルバチョフ書記長の核兵器廃絶プログラムと世界平和へのアプローチの記事。アフガンから撤退し、化学兵器を解体し、短距離核ミサイル全廃条約をアメリカと締結するなど旧世代の負の遺産を清算するのに必死でした。しかし、その後は皆さんご存じの通り。そして、今日のソ連邦が40周年を迎えることもありませんでした。やっぱりちょっと消えるには惜しい国だったような気が・・・(妄言)



最後はソ連の宇宙開発の歴史について。
4月12日はソ連の「宇宙飛行デー」となっており、宇宙関連の催しなどが開かれます。
記事ではガガーリンの娘ガーリャ・ガガーリナの近況について触れられています。
彼女が小学校に入学する直前、1968年の夏に父親であるユーリ・ガガーリンが航空機事故でこの世を去ります。ガーリャはその後、10年制学校を卒業するとエコノミストを妖精するプリハーノフ記念モスクワ国民経済大学に入学。1982年に大学院へと進みます。85年には小児科医のコンスタンチンと結婚。比較的、静かに暮らしているようです。
その他の記事では欧州宇宙機関と協力して小惑星を探査するベスタ計画や火星に無人観測機を着陸させるフォボス計画についての予定や見通しが出ています。
フォボス計画は2機の探査機を連続して打ち上げ、火星に向かわせるという壮大なものでしたが、2機ともあと一歩の所で通信が途絶。失敗に終わっています。

最後は世界各国のブースターロケットのイラスト。ほぼ同スケールで描かれています。名前は番号順で
「1・A1スプートニク(ソ)」「2・バンガード(米)」「3・ジュノー1(米)」「4・ジュノー2(米)」「5・ソー・アジーナ(米)」「6・A1ルナ(ソ)」「7・ソー・エーブル・スター(米)」「8・Aウォストーク(ソ)」「9・マーキュリー・レッドストーン(米)」「10・アトラス・アジーナ・レインジャー(米)」「11・A2eマルス・ベネーラ(ソ)」「12・B1コスモス(ソ)」「13・マーキュリー・アトラス(米)」「14・A2ウォスホード(ソ)」「15・C1コスモス(ソ)」「16・ジェミニ・タイタン(米)」「17・ディアマンA(仏)」「18・デルタE(米)」「19・D1プロトン(ソ)」「20・タイタン3C(米)「21・サターン5アポロ(米)」「22・タイタン3B・アジーナ(米)」「23・サターン1V(米)」「24・エネルギア(ソ)」「25・A2ソユーズ(ソ)」「26・D1eゾンドー(ソ)」「27・ディアマンB(仏)」「28・ラムダ4S5(日)」「29・CSL長征1(中)」「30・ブラックアロー(英)」「31・タイタン3D(米)」「32・サリュート1(ソ)」「33・ミュー4S(日)」「34・ヨーロッパ2(欧)」「35・スカウト(米)」「36・サターン5・スカイラブ」「37・デルタ2914(米)」「38・タイタン3E・セントール(米)」「39・ミュー3C(日)」「40・デルタ3914(米)」「41・ディアマンBP4(仏)」「42・N1(日)」「43・CSL2FB1(中)」「44・ミュー3H(日)」「45・アトラス・セントール(米)」「46・SLV3(印)」「47・アリアン(欧)」「48・スペースシャトル(米)」「49・タイタン34D(米)「50・デルタ3920(米)」「51・アトラスE(米)」
うわー。書き写すだけでしんどいぞー。しかし、意外と知らないロケットがいっぱいあるもんだな・・・。

今回はこんなところでひとまずお茶を濁します。
でわでわ~。

しかし、ここで終わらない。
前回のブログでもご紹介いたしました。「【この世界の片隅に 制作支援】の続報であります。なんと目標額を記録的なスピードで達成。大勢の人たちがこの作品に期待していることが、改めて裏付けられました。わたくしも微力ながら協力させていただきました。しかし、幸い(?)まだまだ〆切には時間がございます。もし興味が沸いたら、是非リンク先のサイトをご覧になってください。
以上、私的な応援でございました。




ゲームラボ(三才ブックス)でも鋭意連載中です。こちらもよろしく~。